家が隣同士。お互いの部屋の窓もほぼ隣同士。そんな彼らの関係は、幼馴染。
「こんな関係が続くと良いね」
「………そうだな」
昨今の土地事情とでも言うのだろうか。
アッシュとルークの家と、の家の間はそれはもう狭いもので。
大人が両手を真横に広げるよりも狭い間隔しかないのだ。
だからこそ彼らは幼い頃より自分たちの部屋の窓からお互いの家を行き来していて。
高校生となった今もその習慣は残ったままだ。
「アッシュにルーク! 今時間ある!? っていうか、集合ー!!」
鍵は開いているのだから部屋の主であるアッシュは家に居るだろう。
隣の部屋の鍵の状態までは確認していないけど、恐らくルークも居るはず。
そう思い、はアッシュの部屋の窓を開けると同時に叫んだのだ。
「よっ、と」
よっこらしょと自分の部屋の窓からアッシュの部屋の窓へとが飛び移る。
すると声が聞こえたのかがアッシュの部屋に入ると同時にルークも姿を現して。
「何だよ」
「あ、ルーク。アッシュは?」
「今母さんに呼ばれて下に行ったけど? まぁ直ぐ上がってくるだろ?」
で、何の用事? と首を傾げるルークにはにたりと笑って。
持って来た白い箱を顔の横まで持ち上げる。
「じゃ〜ん! 駅前の高級ケーキ店のケーキです! 三人で食べなって」
「マジで!? その店って、あのグルメ雑誌とかに載ってる店だろ!?」
「そうなの! 私もビックリしたんだけどね!」
何の変哲も無い日なのに、何故母親が高級ケーキを買って来たのか。
もの凄く気になるところではあるけれど、食べていいと言われたのだ。
お小遣いじゃ絶対手が出ないケーキだ。これは素直に感謝して貰うに限る。
「小母さん、奮発したなぁ……」
「ルークもそう思う? 私も後で何か言われそうで怖いんだけど……」
「何でも懸賞に応募したら当たったらしいぞ。本当に小母さん、くじ運いいよなぁ」
いつの間に上がってきたのか、トレイを持ちアッシュが扉の所に居た。
「そうなの!? って何でアッシュが知ってんのさ!」
「小母さん、下に居るぞ? 母さんとケーキ、ホール食いしてる」
「マジで!? 私たちのカットされてるケーキなのにずるい!!」
っていうか、私が持ってこなくても良かったんじゃ……。とは思うものの。
折り畳み机をルークが出し、アッシュがケーキ皿と紅茶の入ったカップを並べて。
手際よく用意されていくお茶会の準備にもにっこりと笑みを浮かべて。
「まぁいっか」
「そうそう。気にすんなって。アッシュはどれ食べる?」
「……俺はあまり甘くないのな。は紅茶に砂糖一つでよかったよな」
「うん。あ、ルークはこのケーキがいいんじゃない?」
わいわいと三人で居るこの空間はやはり落ち着くと思う。
物心ついた頃にはもう三人で一緒に居た。
幼稚園も一緒。小学校も中学校も。そして何故か高校まで一緒になって。
「……本当私たちって腐れ縁って感じ?」
「何だよ行き成り」
「だって、幼稚園からずーっと同じ学校なんだよ?」
「まぁ確かに珍しいかも知れないがな」
これから先も一緒なのかはわからない。
大学や専門学校に進んだり、就職したり。進路は沢山あるのだから。
三人が三人で居られるのはいつまでだろうか。だけど
…。
「こんな関係がずっと続くといいね」
「……だな」「……あぁ」
歳を重ねても、結婚してそれぞれが家庭を持っても。
幼馴染というこの関係は変わらずにあるのだから。
「一口もーらい!」
「ちょ! ルーク!! じゃぁ私もアッシュの一口」
「あ、おい! お前のも寄越せルーク!!」
わぁわぁぎゃぁぎゃぁ。
騒がしい三人の元に母親たちが煩い! と乗り込んでくるまであと少し
…。