幼馴染が自分の知らない相手と仲良くしている。
人との繋がりが広がる事は嬉しいけれど、自分を忘れられそうで少し寂しい。
だからこそ、相手がどんな人物なのか気になるのは当然の事だろう    …。







「○○ー!!そんな子と付き合うなんて母さん許しません!」
「誰が母さんか」








「あ〜……いい天気……」

は公園のベンチに座り、先程コンビニで買ったアイスを食べる。
空は快晴。頬を撫でる気持ちのいい風。ベンチのある木蔭はいい気温。
まったりと過ごすのにいう事なしの状況なのに、如何せん。

「ちょっと! 何なんですか貴方たちは! 私はに用事があるのです!」
「そういうお前こその何だと言うんだ、あぁん?」
「おいアッシュ。流石に行き成り喧嘩腰は良くないと思うんだけど……」

眼の前で言い争いを繰り広げているのは幼馴染のアッシュとルーク。
そして、先日ひょんな事から知り合いとなったディストで。

「はぁ……。子供たちの遊び場のはずの公園が……」

ぎゃぁぎゃぁと言い争う三人の所為で、公園で遊んでいた子供たちはドン引き。
遠巻きに様子を見ている子供たちの視線はありありと不満を訴えていた。
早くどっか行けよ。邪魔なんだよ。安心して遊べねー。そう視線が語っている。

「私ですか? 私はの……ゆっ、ゆゆっゆゆゆ友人ですよ!」
「キメェ! いい歳した男が頬染めて言ってんじゃねーよ!!」

確かに。とはアッシュの言葉に同意する。遠巻きに見ている子供たちも同様だ。

「すまんな子供たち。あぁなったディストは止められないんだよ……」

ツンデレ気質は出逢った当初から変わりない。
大体にして何故がディストと知り合ったのかと言えば。
傘なんて役に立たない大雨の日。お使いに行って来いと母親に家から蹴りだされた。
何故こんな土砂降りの日に態々醤油を買いに行かねばならんのだとは思ったものの。
反抗すればどんな手段での報復が返って来るかわからず。
は渋々、本当に渋々ながら大雨の中を醤油を買いに出かけたのだ。

「そんな土砂降りの日にまさか傘も差さずに突っ立てるヤツが居るとは思わないよなぁ」

行き掛けにちらりと見た公園で、傘も差さずに突っ立っている人を見掛けた。
何をしているんだと疑問には思ったが、取り敢えず醤油を買い求めるべく素通りし。
流石にもう居ないだろうと思いつつ公園に視線を向けた帰り道。
まだ傘も差さずにその人物は土砂降りの雨の中、突っ立って居たのだ。

「……そこで声を掛けたのが間違いだったのか……」

尋ねれば、何でも親友を待ち続けて8時間。土砂降りの中、立っているのだと言う。
その時、は思った。こいつ絶対に馬鹿だ、と。
傘を忘れたにせよ、この公園には小さないながらも屋根があるベンチもあるのに。
何故吹き荒れる雨と風に耐えながら、しかも噴水の傍に8時間も……。

「屋根付きのベンチに連れて行っただけで何故か懐かれるし……」

それからはこうして公園で会って話をするのだが。
別にはディストと約束をしているわけではない。
ただ帰り道など通り掛った時にディストに声を掛けられるから話しているだけなのだ。

「……なんつーか、ジェイドが言ってた通りのヤツだなぁ……」
「ジェイド!? 私の大親友が私の事を何と!? あぁ勿論も親友ですからね!」

ぶんぶんと手を振ってくるディストにはひらりと小さく手を振り返す。

「……ディストって実は暇人なのか? しょっちゅう公園に居るし……」

ディストの話の内容と言えば、幼馴染で大親友だというジェイドとか言う人の事ばかり。
とても素晴らしい人なのだとディストは言うけれど、からすればただの鬼畜だ。
それにディストで遊んでいるとしか思えない。あの雨の日の大遅刻がいい例である。
母親からの、早く醤油買って帰れやゴラァ! という電話には帰途に着いたのだが。
数日後再び会って話を聞いた所、ディストは結局翌日まで待っていたらしいのだ。
実に24時間の大遅刻。待つ方も待つ方だが、遅れる方も遅れる方だ。
はジェイドという人と面識はないが、係わり合いになりたくないと思っている。

「……っ、ーーっ!! こんなヤツと友人だなんて母さん許しませんよ!?」
「誰が母さんだよ……って突っ込んでる場合じゃねぇ!! アッシュが壊れたー!?」

が回想している間に一体どんな遣り取りがあったのか。

「流石ディストって言った所かなぁ」

自分の幼馴染の壊れっぷりを見ては思う。普段の冷静な幼馴染は何処に行った。
壊れたアッシュに、大混乱のルークに、よくわからないテンションのディスト。
漫才なのかコントなのか何なのか。いい加減、子供たちの保護者から苦情が来そうだ。

「本当に」

天気は快晴。程よい風に木蔭にあるベンチは快適空間。
でも眼の前では収拾不可能な言い争いが続き、公園に居る子供たちはドン引き継続中。

「馬鹿ばっか……」

ハズレの文字がでかでかと書かれたアイスの棒を齧りつつ、は溜息を吐いた。