はバイクだけでなく、車の免許も持っていたらしい。
だがまだ初心者マークが必須という事は免許取得後1年以内なのだろう。

「なぁ何でこの面子なわけ?」

運転席に。助手席には無理矢理座らされたアッシュ。
後部座席には車の所有者のガイと、突然アッシュと共に呼び出されたルークが居て。

「さぁ。俺はにルークとアッシュを呼べと言われただけだから」

ルークの問いにガイはきっちりとシートベルトを締めながら答える。

「何だって俺まで……」
「まぁ気にするな。で、皆シートベルト着けたな」

ぶつくさと言うアッシュには声を掛け、皆がシートベルトを着けた事を確認し。

「んじゃ行くぞ」

そう言ってアクセルを踏み込んだ。







冗談じゃないんだよ -16-








アッシュはルークから、のバイクの運転は上手いと聞いていた。
彼の性格上、調子に乗ったり悪ふざけの時は荒い運転になる事もあったようだが。
車もそうなのだろうと思っていたが大間違いだった。
初心者の運転というものを甘く見ていたらしい。

「おまっ!! マジで免許持ってんのか!?」
「ぎゃぁぁあぁぁああぁぶつかるぅぅぅうううううぅっ!!!!!!」

の運転によるドライブが始まってからまだ数分しか経っていない。
それなのに、アッシュとルークは車から降りたくて仕方なかった。

「ちゃんと免許持ってるって。だからこうして運転してんだろ?」

隣や後ろから聞こえる叫びなど知ったこっちゃないと至って平静にが答える。

「そうだろうけどっ!! ちょ、いっいまカスリかけっ、ひゃぁぁぁあぁああ!!」
「誰だっ! コイツに車の運転を許可した奴は!! ダメだろうが!!」

アッシュはぎゅっと自身の命綱であるシートベルトを握り締める。
後ろからはルークの泣きそうな叫び声が絶え間なく聞こえ。
よくこんな運転で教習所を無事に卒業出来たと思う。
何故だかはわからないが、は先程から妙に左側に寄った運転をするのだ。
だから左側に座っているアッシュとルークはいつぶつかるかと怖くて堪らない。

「うん。あれだな。バイクの癖が出過ぎだな」

運転席の後ろの席に座っているガイが冷静にの運転について評価を下す。

「あ、そうだな。車だったな。免許取ったはいいけど殆ど乗らないかならぁ」

いやぁ悪い悪い。と笑うだが、アッシュとルークにとっては笑い事ではない。
本当にいつ事故るかとひやひやしながらのドライブなんてごめん被りたい事態である。

「確かにバイクに乗ってる時は車の左後ろに付けるからなぁ」
「だよな。だからか知らんがどうしても前の車の左後ろに行きたくなる」
「ははっ。そんな事したらガードレールで擦るぞ。俺の車なんだからやめてくれ」
「あぁ気を付けるよ」

二人ともバイクに乗る為、バイクと車の違いについて思い当たるのだろう。
だが、ただ乗っているアッシュとルークにとってそんな事はどうでもいい事で。
のんびりと会話する二人と対称にアッシュとルークの口数はどんどん減っていき。
ついには無言になり、青白い顔で必死にシートベルトを握り締めているのだが。

「つい前の車抜きたくなるんだよなぁ」
「やめろよ? 車幅あるし、ここは追い越し禁止斜線だ」
「わかってるって。バイクだとす〜っと追い抜けるのになぁ……」
「まぁその行為も違反かどうかのグレーゾーンだけどな」

確かにな。と笑うと同じように、ガイも笑って。
何でこんな運転の車に乗ってて笑えるんだろうかと双子は同じ事を思う。
こっちは恐怖と戦うので精一杯だというのに。

「あ、そういえばも車の免許取るのか?」

ガイがふと思い出した事を尋ねれば、は考える素振りを見せて。

「どうだろうなぁ? 取りたいとは言っていたが……」
「いたが?」
「俺の運転見てると怖くて出来そうにない、だとよ」

の言葉にアッシュとルークは、確かに。と思う。
自分もいつかは免許をとは思うがどうにも悩んでしまう程、の運転は微妙だ。

もバイクに乗ってるから、車に乗った時の事を考えると気後れするんだろう」
「成程な。じゃぁ彼氏が車を運転出来りゃいいんじゃないのか?」

なぁアッシュ。とガイはアッシュに話を振るが。

「あはは、ガイ。面白い事いうな。何でそこでアッシュに振るんだ? え?」

くるりと青筋を浮かべたがガイを振り返って睨み付ける。
言っておくが、彼は運転中だ。今もそう。という事は。

「ぎゃぁぁあぁああああ!!!! ーーーっ!!!!!!」
「前見ろ! 前をぉおおぉっ!!!!」

絶賛脇見運転中という事で。
ただでさえ青白いアッシュとルークの顔から更に顔色が無くなったのは言うまでもない。